甲本ヒロト20000字インタビュー




※7から続いてます


●過去形で言わないでね(笑)。
「いや、最近は、自分がやるようになって、活字で音楽を読まなくなりました。だから聴く側からやる側に変わったんだと思う」

●で、高校へ行かないって言ってたっつったじゃない? 何をやるつもりだったの?
「ん? 僕はねえ、その頃ねえ、ロックをやるつもりだったの(笑)」

●(笑)中卒ロックですか。
「うん。でね『俺、ロックやるから高校へ行かずに東京へひとりで出てって、何とかします』っておとうに言ったらねえ『できるわけねーだろう!!』なんて言われて(笑)。『いやあ、でも僕はものすごいロックの人になれるんじゃ』って(爆笑)。『なれるんじゃ言うてやったことがあるんか!』って言われて『いや、弾いたことはないよ(笑)。でも、ものすごい、日本ではとりあえずいちばんカッコええロックのスターになれるから、ちょっと出してみて』って言うたん(笑)」

●(笑)何をわけわかんねーこと言ってんだよ。一種の誇大妄想狂じゃないか。何を根拠にそういうふうに思ってたのよ。
「いや、自信(笑)。自信とヒント。自分の頭の中に『自分はロックをやってすげー面白いことができる』っていうねえ、ピンッと何かこう閃いたんです」

●(笑)何だよそのピンッていうのは。それはもうすでに曲のアイデアがあるとか、そういうものじゃないわけでしょう。
「いやあ、なかったですね。だけど、とりあえずすげー『もうすげー!!』っていうね」

●だから何が“すげー”んだよ! 具体的なイメージとしては。
「いや、そんなのはない(笑)。もう存在としてもすげーの(笑)。もう一大センセーショナルなの、その存在だけで」

●何がセンセーショナルなの?
「わかんないけど(笑)。そこでね、自分というキャラクターがね、日本のロックにおいてものすごく重量なキャラクターになるであろうという確信をね(笑)」

●(笑)わけわかんねー。確信は持ったっていいんだよ。だけど根拠は何なんだよ。
「(笑)こんなやついないなって」

●ははははは。たしかにそうかもしれないね。
「で、高校3年ですね。楽器とか練習しときゃよかったんだけど、何にもできなかったんでね。他のバンドのヴォーカルが抜けたところに入ったんです。『歌なら誰でも唄えるもんなあ』なんて思ってねえ」



※9に続きます




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