Relaxi`n

甲本ヒロト 1


 
●5枚目のアルバムなんですけど、ハイロウズでここまでラヴソングを描き切ったアルバムっていうのは僕は今までになかったんじゃないのかなあと正直思ったんですけども。
「なるほど。・・・いや、あんまりそういうのは意識してないけど・・・僕らとしては『バームクーヘン』の流れを汲む1つの作業として今回のアルバムができたような、そんな感じの勢いだから、別にそんなに心境が変わったとかあんまり感じないよ」


●前作『バームクーヘン』からハイロウズってバンドは、センチメタリズムを入れ始めましたよね、バンドのグルーヴの中に。
「ま、意識したことじゃないけどね。『知ったこっちゃない』っていうことなんですけど、結果的にそうらしいですね、人が言うには。本人は意識してないよ、そんなに。意識してないし、把握も――自分たちの活動の見え方を把握できるとも思ってないし」


●ヒロトさんが「把握してない」っていうのは、「把握したくない」って気持ちがすごくあるからだと思うんですけど。
「うん。興味がないんだね、そういうことに。えーっとねえ、楽しいじゃないですか、ロックンロールは」


●はい。
「その、ロックンロールの楽しさがなんなのかわかんないです。で、わかろうとも思わないし、興味もないです。僕は『楽しい』ってことがゴールなんだよ」


●「楽しい」ってことがゴール?
「うん。例えばケーキが目の前にあって食べた。『美味しい!』っていうのがゴールなんだ、僕にとっては。その心が揺れたところで決着はもうついてんだ。で、そこで『さて、なぜ美味しかったんでしょう?』とかさ、もう1回反芻してみて、ケーキを(笑)、せっかく食ったものを取り分けてみて『ここに○グラムのお砂糖と――』とかさ、『これがこちらの○○を引き立て――』みたいな、そういう分析をしてしまうことで、せっかく美味しかったものが・・・なんか、その『美味しかった』っていうのはさ、幻想かもしれないんだよ。そのとき感じた気のせいかもしれないんだ。でもさ、せっかく楽しんでんだからさ、いいじゃん」


●その「美味しかった」っていう気持ちをすごく大切にしたいって話ですか?
「うん、そこでも浮かれてたい。貴重な時間じゃん。僕はそう思うの」


●例えば、僕もケーキはすごく好きなんですね。
「あーっ、話合いそうですね。あとで特殊な情報を1つ教えるよ」


●ありがとう。でも僕は全部のケーキが好きなわけじゃないんです。チーズケーキは好きで、ミルククレープも好きで、でもショートケーキは嫌いで「これは何なんだろうな」って一時期まで自分でわかんなかったんですけど――。
「あははははは、うん」


●ある日それに気付いたのが、「僕はスポンジがいまいち好きじゃなかったんだ」と。
「なるほど」


●で、僕はもっとニョリニョリのヌルヌルしたものがケーキの中ではすごく好きなんだなあって気付いて、僕にとってはその発見は気持ちよかったわけですよ。
「あ、そこで探求して発見することの気持ちよさ、それも1つの楽しみだというわけだね」


●ヒロトさんそういうのはないですか?
「いや・・・ある。ふははははははは」


●あはははははは。
「っていうか、ロックンロールの中にもある、すごくある!それはあるんだよ。それはリスナーとして思いっきりの深読みをしてみたりとか、それから重箱の隅をつつくような歌詞の聴き方であったり、表現者本人の伝記を読んだりすることで自分で裏を取っていくような楽しみ方、めちゃめちゃある。で、僕は今回実はリバプールに行ってビートルズの足跡を辿る旅をして、それは自分にとって最高のロックンロール・エンタテイメントだったし、何よりも楽しいテーマパークだったんだ。一大スペクタクルだったよ!ただの家見ながら、そこにはジョンとポールが歩いていた(笑)。そういうさ、勝手な思い入れで、例えばジョンやポールにしてみれば『鬱陶しいじゃん』みたいな、『迷惑だからどっか行ってくれないか』みたいなことまで含めてロックンロールを僕らは楽しむんだよ。リスナーとしてはね。・・・・・


2に続きます





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