Relaxi`n

甲本ヒロト 2


1の続きです


・・・ところが、それは本人にぶつけようと思わないんだ。実際に僕が見た幻のジョンとポールを僕は最高のエンターテイメントとして楽しむし、自分の心に一生消えないような宝物になったと思うんだ。もうファンタジーなんだよ。で、ビートルズのストーリーって感動的じゃないですか、ものすごい。あんなちっちゃな街で生まれた、それはどこかで集められた仕組まれたものでもなく、本当にあのちっちゃい街で歩ける距離に生まれた同じ近い年齢の子供たちが当時にしてみれば時代遅れのイモなスタイルで演奏してて、それを一滴垂らした瞬間、世界がブワーッと塗り替えられていくダイナミックな歴史があるじゃないですか。それを実際に目で確かめることってすごい楽しかったんだ。で、もしかしたら・・・そこには意識があったのかもしれない、『こんなストーリーにしてみたい』っていう。でもそれは知りたくないし。僕にしてもそうだよ、僕はビートルズのような整合性のとれた素晴らしいロックンロール・ヒストリーは自分に持ってるとは思わないんだ。すごく行き当たりばったりで・・・だからこそ、生で演奏してる瞬間だけの僕を見て欲しいし、歌だけ聴いて欲しいと思うんだだから逆の意味で自意識過剰なのかもしれない」


●そうかもしれないけど、僕は今の話を聞いてて、ヒロトさんは自分のキャリアとグロリアスな過去の作品について、すごく自覚されてるんだろうなあと思うんですよ。それがあって、さらにロックンロールが好きでいて、ロックンロールやめたくないって気持ちがどんどんどんどん今の自分を頑張らせてるような気がしますけど。
「なるほど。分析されてますよ、俺(笑)。さて、それが正確かどうかっていうのは、その答えをここで出したくはないし、僕自身。で、それは何をさせるかっていうと、僕自身のテンションを落としてしまうことになる。自分を分析することは、自分『甲本ヒロト』の表現を作っていくときのレシピを完全に把握してしまうことは、自分のテンションを落とすことに繋がってしまいそうなんだ。それは非常に怖いし、『怖い』というよりは『寂しい』ことなんだ。だから『浮かれてたい』っていうのはそこだあね(笑)」


●わかりました。先ほど『バームクーヘン』の延長線ではあるという話をされてたんですけど、それは具体的にどういうところがそうだったのか教えてもらえますか?
「それはね、『バームクーヘン』のときの浮かれようは非常なものがあって、それはね、えーーーっと・・・音楽そのものとかよりも世の中のシステム――物事をやるにはいくつかの手続きと、その手続きの中で切り捨てられる不可能な部分、『ハンコなきゃダメだよ』とかさ(笑)、世の中っていうのはある程度何かそういうものの中でやってかなかなきゃなんない部分っていうのがあるという幻想があるじゃないですか。それは幻想だよ。でもそんなものは幻想であって、やりたいことはなんだってできるし、人の手なんて借りなくたってできるんだっていうのをさ・・・それも幻想かもしれない。ところがさ、スタジオなんか借りなくたって、あんな都内のすごい立派なさ、デジタルの48チャンネルとかいうスタジオに行かなくたって、プロのミキサーがいなくたってバンドだけで自分たちの楽器倉庫でアルバムなんか作れるじゃんっていうことがさ、幻想じゃなくて現実なんだっていうことを、その作業の瞬間瞬間で感じるわけですよ。『わー、録れてる、録れてる』って、『カッコいいーっ、しかも』みたいな(笑)」


●それは、例えば小学校の頃に森の中にいって自分の基地っていうのを勝手に作るじゃない?そこからいろんなことが膨らんできて、それは幻想かもしれないけど自分の中では確実なリアルであって。
「リアルだね。独立国家を1つ作ったみたいな気持ちだったよ。アナーキーなね。僕の理想はアナーキーなんだ、やっぱり。理想郷、桃源郷なんだよ、アナーキーこそが。でもアナーキーには条件が必要なの。すっげー寂しい条件だよ、『悪人は入れちゃいけない』っていうさ。『誰を悪人って判断できるんだ、お前!』って指が見えるんだけど、ただ人の楽しみの邪魔をするような人は入ってはいけない、人の幸せを踏みにじるような人はそのアナーキーな世界には存在してはいけないんだ。その条件の上でアナーキーこそが理想なんだ。で、『バームクーヘン』の作業をしていたあの5人だけのスタジオは、アナーキーだったんだよ、世界で唯一」



3に続きます







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