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6.発見
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「……ん」

鳥の囀りが聞こえ、アニスはふと目を覚ました。どうやら朝のようだ。
アニスは、ベッドに突っ伏していた。知らぬ間に眠っていたらしい。開かない目をこすり、辺りを見渡す。



「あたし、確か………………っ!?」

気付いた瞬間、アニスはぐるりと部屋の隅々まで視線を走らせた。









…大佐が、いない。





とても動けるような状態ではないはずなのに、部屋の中に彼の姿が見当たらない。
アニスは、弾かれたように部屋を飛び出した。









廊下を走り抜け目に入ったのは、赤髪の青年と寄り添うように傍にいるマロンブラウンの髪の少女。


「ルーク、ティアっ!大佐を見なかった!?」

「見てねえけど…どうかしたのかよ?」

「部屋にいないの!まだ絶対安静じゃなきゃだめなのに、いなくなって…!」

「大変だわ!すぐに探してベッドに連れ戻さないと…ルーク、行きましょう!」

「お、おう!」



その後ガイとナタリアにも出くわし、同じように捜索を頼む。



宿屋内のほとんどを確認しおわり、全員が偶然にもフロントで落ち合った。

「…いたか!?」

「駄目でしたわ!」

「旦那の奴、一体どこに…」

「あと探してないのは…」

その瞬間、全員がはっと顔を見合わせた。そして、同じ方向に走り出す。

たどり着くは、屋上。


ばたん!と、大きな音を立てて屋上の扉を開く。
目に入ったのは、探していた、青。


「大佐!」

「ジェイド!こんな所に…!」


全員の心が、安堵する。どこかで倒れていたらと気が気ではなかったのだが、とりあえず無事のようだ。もっとも、ルーク達に背を向けて立っているせいで表情を読み取る事はできないのだが。

いち早く、アニスが駆け寄る。部屋へ戻るのを促すように、ジェイドの袖をちょん、と引っ張った。

「もう!大佐ってば、心配かけないで下さいよぅ!部屋に戻りましょう?」







振り向いた彼の瞳は、ひどく赤かった。

「…触らないで頂けますか?」

「っきゃああ!」

「アニス!」

アニスが、何かに弾かれてルーク達の手前に吹き飛ばされた。
アニスを直撃したのは、エナジープラスト。

「なっ…!旦那!?なんてことするんだ!」

「待って、ガイ!おかしいわ!私達には譜術に味方認識がかけられているはずよ!どうして、影響を受けるの!」



「…ああ…そういえば、何故か味方認識がついていたようですねぇ。外させて頂きましたが。」

「どうして!どういう事だよ、ジェイド!」


ルークが、情けない顔で叫んだ。不安を隠しきれないのだ。誰もが、思っている。何かがおかしいと。


「…どういう事、ですか…。それはこちらの台詞ですねぇ。一体どうして、私はこんな所にいるんです?」

「どうしてって言われてもなあ…」

ガイが、考えるそぶりをする。
だが次の瞬間、その思考は止められざるをえなかった。













「…大体、貴方達は誰なんです。」









「………え?」







青空のもと、生ぬるい湿った風が、彼らの頬を掠めていった――――――
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