1/1ページ目 「…そう簡単には、ねι…でもどうしたんだい?いきなり」 「………」 ナタリアは、ガイの瞳をじっと見つめる。 「ナタリア?」 ぎゅっ… ふいに、ナタリアがガイの手を握った。 「うっ……!」 当然のことながら、ガイの身体はガタガタ震えて、逃げようと身をひく。 「はっ離してくれナタリア!」 「ガイ、私の目をみるのです」 ナタリアは、そんなガイにやんわり微笑みながら優しく声をかけた。 「…ナタ、リアっ…?」 やはりガイの震えが止まる事はない。ナタリアは、片手でぎゅっと握っていたガイの手を、両手で包んだ。 「…ねぇ、ガイ」 「は、いっ」 震えのせいで、ガイの声が裏返る。 「これを女の手ではなく、私の手だと意識して頂けません?」 「…そんなっ事を、言われてもっ…」 「分かりますか?伝わりますか?私の体温が」 「たい、おんっ…?」 「あったかいでしょう?これは、生きている証ですのよ。貴方が護ってくれている暖かさです。貴方が前衛で戦ってくれるから、この手があるのです」 「まも、る…?」 ガイは息を乱しながら、小刻みにカタカタ震えつつ、聞き返した。 「そう。そして、貴方を護っている手でもありますわ。この手が、貴方にヒールをかけますのよ?」 「護られ、てる…」 ガイの震えが、止まった。 「貴方のお姉様と同じように、貴方を護っている手ですわ。…ねぇガイ。怖くありませんでしょう?貴方が護り護られているこの手が、どうして怖い事がありましょうか」 「…そうか。そう、だな…」 ガイが、ナタリアを見て柔らかく微笑んだ。先程までの緊迫した固い表情とは、えらい違いだ。それに、ナタリアもにこ、と微笑み返す。 「…不思議だな。もう、君の手は怖くないよ」 それを聞いて、ナタリアがよかったですわね、と、ぽんとガイの肩を叩いた、その瞬間。 「ひいぃっ!」 「……………」 ガイの身体が、後ずさった。 「う…す、すまないι」 「まぁ、そう簡単にはいきませんわよね」 「手を握るのは多分大丈夫みたいなんだが…肩とかに触られるのは、まだι」 申し訳なさそうに頭をかくガイをみて、ナタリアはふぅ、と仕方なさそうに息をはくと、微笑んだ。 「でも、いいですわ。だってこれからは、貴方に手を繋いでもらえますもの。」 「ナタリア…」 二人は顔を見合わせると、どちらからともなく手を重ねたのだった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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