1/1ページ目 「おやアニス」 宿屋の一室で書類を書いていたジェイドの前に現れたのは、可愛い恋人。 お風呂上がりなのか、下ろした髪は湿っていて、どこか艶っぽい。 「今、そこの廊下で万年筆拾ったんです。これ、大佐のですよね?」 「ええ、ありがとうございます。気付きませんでした。」 「大佐でもミスするんですね〜♪」 「何言ってるんです。私はミスだらけですよ?例えば…あなたに骨抜きになってしまった事とか…ね♪」 「な、ななな何言ってんですか!?らしくないですよぉっ?」 「…ふむ。少し気障すぎましたか。ガイがうつってしまいましたね」 「も、もう寝ます!」 「まだ髪が濡れていますよ?」 「こっこれくらいなら大丈夫です!おやすみなさい!」 アニスは、ばっと踵をかえした。 ジェイドは、気取られないようにすっと立ち上がり、アニスの襟首にひょいと指をひっかけて、くん、と引っ張った。 「ひゃぁ…!?」 バランスを崩したアニスは後ろに傾き、倒れかけて ぽすん 大佐の腕の中に綺麗に収まった。もちろん、この一連の動きはすべて大佐の計算通り。 「いけませんねぇ。髪を濡らしたままでは、風邪をひきますよ?」 「はぅ…。大佐、謀りましたね?」 「何の事です?私はただ、貴女の体を心配しただけですよ」 「わざわざこうなるように会話をもっていったん、でしょ?…狡いです大佐」 「計算づくは大人の特権なのですよ」 「子供扱いしな……んっ…んぅ…」 アニスの言葉を遮って、大佐は深く口付けた。 アニスが苦しくなりだすのを見計らって、唇を解放する。 「子供にはこんな事しませんよ、アニース♪」 余裕の笑みを浮かべて、アニスの顔を覗き込む。 「はぅあ!もしかして…今のも計算ですか!?」 「どうでしょうねえ」 これ以上反撃してもかなわないと悟ったアニスは、ぱっとジェイドから離れた。 「むぅ…。アニスちゃんはもう寝ます!今度こそ寝ます!おやすみなさいっ!」 と勢いよく扉からでていった。 「むくれてしまいましたか。全く…可愛いですね」 今日アニスが学んだ事。 やっぱり大人(特に大佐)はタチが悪い。 …実は万年筆が落ちていたのも彼の計算だったり。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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