1/2ページ目 私の大好きな人は、とても大きい。 そう感じるのは、私が子供だからなのかな。 だって、私は子供で、彼は立派な大人なんだもん。 34センチの身長差だって頷けるよね。 彼の身長は、好き。 いわゆる長身で、すっごく格好良い。 嫌いなのは、私の身長。 だって、彼の隣で歩けない。不似合い過ぎて笑っちゃう。 彼を見上げると、首がかくんってなる。ちょっと見上げたくらいじゃ、彼の端正な顔は私の視界に入ってくれないの。それって、結構しんどいんだけどね。嫌いじゃあないんだ。 私が彼を見上げる角度は斜め45度で、いわゆる上目遣いになるらしいんだけど。 そうすると、彼は必ず“貴女はいつも素晴らしく可愛い顔で私を見上げますね”って言って、上機嫌で私の頭を撫でてくれるの。それで、すごく優しい瞳で―――この世には存在し得ない深紅をやんわり細めて―――私の事を見下ろすの。 そのまま目が合ってお互いにくすくす笑い合うのが、とっても擽ったいんだ。 だからね、私この身長差、嫌いだけど好きなの。 わかってくれる? 「アニース、ひとりで何をぶつぶつ言っているのですか」 「大佐!」 あ!まただ! 私の大好きなピジョン・ブラッドが私の瞳を捉える。 この瞬間て、絶対ドキッとしちゃうんだよね。 このアニスちゃんを眼差しだけでノックアウトするんだから、大佐はやっぱりただ者じゃないなあ。 「大佐!待ってて下さいね♪私、すぐ大きくなりますから!大佐と並んで歩けるくらい!」 「おやおや…楽しみですねぇ。しかし…アニスの成長した姿も勿論心惹かれますが…」 “そのままの貴女の事も、私はとても好ましく思いますよ” ほら! きっとこう答えてくれるって信じていたよ。 だからこの身長差は やめられないんだよね。 “大好き”の意味を込めて、私は彼の広い胸に力一杯飛び付いてやった。 fin. <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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