short2
ツンデレ彼女の攻略法(LT)
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「調子に乗らないで!馬鹿っ」

(…やべ。怒らせた)

同じソファに並んで腰掛けていたティアが、ふいっと顔を背けた。
原因はわかりきっている。俺が、強引にキスしようとしたから。

初めてなわけじゃないけれど、こういう事に関してティアはかなり奥手らしく、なかなかさせてくれない。俺だって恋愛下手だけど、(俺ヘタレだし)ティアはそれ以上だと、最近わかった。

「私、心の準備がいるのよっ…前にも、言ったでしょう?」

「うん、言ってた」

「だったら…!」

「だって、ティアが可愛いから」

「!」

ティアは、完璧に俺に背を向けてしまった。こうなると、打開は難しい。恥ずかしがって、絶対にこちらを向かない。

(さて、どうするか)


「…ティア?」

「…………」

「ティア、こっち向いて?」

「嫌」

(…即答かよ)


長期戦を覚悟した俺は、居住まいをただして、少しティアの方に寄った。もう一度、呼んでみる。

「ティア」

「……嫌」

予想通りの返答に苦笑しつつ、ゆっくり腕をのばす。後ろから柔らかく抱きしめて、彼女が嫌がってない事を確認しながら、その華奢な肩に顎をのせた。

彼女の耳元に、唇を寄せる。


「…ティーア」

ぴく、と肩が反応したのが分かった。顔は見えないけど、耳が赤い。表情が手にとるようにわかる。もうひと押しだ。
今度は、耳たぶに触れる距離。唇を寄せた。

「…ティア」

「……………何よ」

拗ねたような声が聞こえて、俺は口角を上げた。


「こっち、向いて」




少しの沈黙のあと、恐る恐るという感じで、ちら、とティアが視線を寄越した。肩越しに、彼女の蒼い瞳が潤んでいるのが見える。

(あ、顔まっか)


こんなふうに恥ずかしがっているティアは、いつもの軍人然とした感じと雰囲気が全く違っていて、余計可愛い。
そんな事を思った自分に重症だなと思いつつ、この機を逃すまいと彼女の頬を優しく包んだ。

「キス、してもいい?」

「や、待って…」

「5秒あげるから、心の準備とかってやつ、して」

「ちょ、ル、ルーク!」


真っ赤になって困惑するティアの顎をくい、と持ち上げて、逃げないように固定した。

「ルーク、待っ…」

「もう、待たない」


しっかり5秒かけて、彼女の唇に自分のそれを重ねた。


fin.
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