日記ログ

ジェイアニ
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「たいさぁ」

ソファに腰掛けていたアニスが、ジェイドをよんだ。アニスの呼び声に、ジェイドは彼女の隣に腰をおろす。

「何ですか?」

問えば、アニスの大きな瞳が彼の顔を下から覗き込んだ。

「大佐って、部下の人以外には常に敬語ですよね?」

「ええまあ…立場上、そのほうが都合が良いので。それが、何か?」

アニスは、うーん、と首を傾げてから、口を開いた。

「…陛下に対しては、たまに敬語はずれますよね。なんでですかぁ?

「…何を言うかと思えば。まぁ、昔の名残…でしょうねぇ」

「ふぅん…」

つまらなそうにそう言いながら、アニスはジェイドを見上げた。
大きな茶色の瞳が、ジェイドを捉える。そんなアニスを見て、アニスの心情を理解したジェイドがくすっと笑う。

「もしかして羨ましいんですか?陛下が」

「いっ…いや、えっと…その…」


図星を指されてあたふたするアニスを横目に、ジェイドは器用に片手で眼鏡をはずすと、カタン、と目の前のテーブルに置いた。
ゆっくりと立ち上がり、アニスの正面に立つ。

「え、え?」

困惑するアニスをよそに、ジェイドは両手をソファの背に押し当てた。自然と、アニスの逃げ道を塞ぐ形になる。

「あの…な、なんですかぁ?」

遮るものなしで真っ赤な瞳に至近距離で覗き込まれたアニスは、顔を赤くする。

「何を赤くなっているんだ?」

「!?」

いつもと違う風なジェイドの雰囲気に、アニスの頬が林檎のように染まる。
アニスの様子にジェイドは、ふっと不敵な笑みを浮かべる。

「そんな可愛い顔で見上げないでくれ。キスしたくなる。」

「〜〜〜〜っ!////」

ジェイドの言葉に、さらにアニスは紅潮した。それを見つめていたジェイドは、楽しそうに目を細める。

「忠告はしたんだ。肯定という事でいいのか?」

「え?……んっ!…」

ジェイドは、アニスが返事をする前に唇を奪った。ふいをつかれたアニスは思わず逃げようと身をよじったが、余計に深く口づけを与えられるだけだった。
アニスの力が抜けてきたところで、ジェイドはアニスを解放する。息が上がってぐったりしているアニスは、大人しくジェイドに身を預けた。
アニスの息が整ってきたのを確認して、ジェイドが口を開く。

「…さて、いかがでした?」

「…今まで通りでいいですι」

(毎日あんな風に話されたら、あたしの心臓がもたないもん!)

「では、貴女がもう少し成長して、心臓がもつようになったらということで。」

「…。」

彼女の心の叫びは、彼にはおみとおしだったらしい――――。


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