1/1ページ目 「…アニース。私の顔に何かついていますか?」 アニスの横に座って本を読んでいたジェイドが、視線を本に向けたままでふいに口を開いた。 「いいえ〜♪」 「でしたら、そんなにじろじろ見ないで頂けると嬉しいのですが?」 そう。ここ数十分、読書中のジェイドはアニスの視線にさらされていた。 「えへ♪大佐は格好良いからずっと眺めていたいなあ〜なんて」 お得意の甘え声で茶化すアニスだが、そんな事ではぐらかされる彼ではない。勿論、そのことは彼女だって百も承知だ。結局白状しなければならない事を知っていて遊んでいるのだから。 「嘘を言いなさい。で、真意は何です?」 ジェイドは、相変わらず本に目を落としたままで切り返す。一枚、頁をはぐった。 「ぶー。…えっとですね〜。大佐って、陛下の懐刀で天下の死霊使いじゃないですか」 「…ええまあ、そうですね。それで?」 ジェイドの返事と共に、再び本の頁をはぐる音がする。 「…だから、大佐の弱点調べられたら裏ルートで高く売れるんじゃないかなあって☆」 「…………。」 3枚目の頁がはぐられる事は、なかった。 「…アニス。つまり貴女は、仲間を売るつもりだった…と」 「…えっへへ♪」 全く反省なしのアニスに、ジェイドは、はあ、とため息をつく。 「…で、見つかったんですか?」 「むー。それがなかなか…大佐って隙ないしぃ〜」 「…教えて差し上げましょうか?」 「…………ふぇ!?」 予想外なジェイドの申し出に、アニスは目を丸くする。そして、ばっと身を乗り出した。 「教えてくださいっ!」 「…知っても貴女にはどうしようもありませんよ?」 「いいですから!」 あくまで姿勢を崩さないアニスに仕方ありませんねと呟くと、ジェイドはぱたんと本を閉じる。 目をキラキラさせているアニスに近づいて、その耳元に唇を寄せた。 「…貴女ですよ」 ジェイドはそのまま彼女のこめかみにちゅ、とやると、クスクス笑いながら部屋を出ていった。 「………え?」 そして部屋には、思考回路がショートした少女がひとり、ぽつんと残された――― [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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