【山ヒバ】 空が白み始めた時間。 空気はひんやりと、秋の予感を漂わせている。 日課となっている朝のランニングの途中、見慣れた後ろ姿を見かけた。 声をかけると、振り返る。 こんな時間に会うなんて。 ちょっとした驚きと、喜び。 駆け寄ると、少し血色の悪い顔色に気づく。 「あれ…?」 「何?」 見つめ返してくる瞳。 「なんか、体調悪かったりする?」 「別に。じゃあね、僕はもう行くから」 そう言って背を向けた彼を、腕のなかに閉じ込める。 半袖のシャツから出ているその腕は、冷たかった。 「うわっ、冷たくなってるのな。最近、朝は冷えるもんなー」 「ちょっ…?!」 「まーまー」 腕の中の、そこに体温が移っていくのを感じる。 「あんまり冷やすとよくないぜ?」 「……」 黙って暖められている彼の髪に、そっと口づけを落とす。 まだ誰もいないその道は、二人だけの世界。 あと少しだけ、少しだけでいいから… 【終】 これもツイッタ―で流してたやつ。 01:34 コメント(0) [コメントを書く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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