diary2

2022年12月2日(金)
【12/1】
読書メモ 2022.11〜12
「台湾秘話 霧社の反乱・民衆側の証言 /
林えいだい 2002年 新評論 刊行

皆さんは
日本軍が毒ガス兵器で
民間人を殺傷したことを
ご存知でしょうか。
しかも台湾でです。

台湾は実に約50年間
日本によって占領され
植民地にされていました。
現在ではまるで
「親日国」の代表とされ
日本占領時代が良かったみたいに
印象操作をするメディアもありますし
実際には
「一つの中国」を国家として認めているにもかかわらず、台湾は日本と同じ自由主義陣営、という理屈で
「台湾有事」に備えるなどと大げさに騒いでいます。

台湾有事とは、つまり台湾や南西諸島を戦場に、中国と戦争をするということです。韓国、北朝鮮、ロシアも巻き込んでしまう恐れもあり、核ミサイル攻撃が複数違う国から行われる恐れもあります。

そんなことをするべきでしょうか。
またかつての日本は台湾に対して、中国より
よりよき占領国だったでしょうか。
岸田首相や
防衛大臣、好戦的発言をする
自衛隊幹部は
かつての台湾占領や霧社事件の反省を
一言でも
表明しているでしょうか。


有事には台湾を中国から守る、と、苦しい経済状況でも軍事費を増大させようとしている
現在2022年の我が国の政府がまだ100年も経たない、1930年に台湾でやったこと。

日本は日清戦争で勝った際に、清(当時の中国)に台湾の領有を認めさせ、台湾を軍事的に占領します。
でもそんなのは、台湾の人々には
一言の了解もない。
台湾原住民(現地では先住民ではなく原住民と呼ぶそうです)の人々が日本の度重なる軍事攻撃による彼等のテリトリーの強奪と、過酷で、彼らの慣習やプライドを無視した同化政策(理蕃政策)の強要に長年苦しめられました。

それに対して原住民のセデック族が蜂起した、霧社事件の鎮圧の名目で、日本軍はセデック族の住む地域を毒ガス攻撃し、女性や子供も含むたくさんの人が死傷しました。

結局日本が占領した時代の
台湾でもたくさんの戦争犯罪や
圧政がありました。
中国が軍事的に台湾を併合することを
非難するのは当然ですが
自分たちも同じようなことを
してきた歴史がある。

中国を悪く言うならば
過去の占領時代の反省無しには
あり得ません。

この本は日本人が
台湾有事を考える前に
知っておかなきゃいけないこと
自分たちの祖父母や曽祖父母の世代に
何をしたかを学ぶことができる本です。


僕はこのような日本の加害の歴史を調べてシェアをするのは、決してそれを行った当時の兵士や官吏などの個人を誹謗するためではありません。

この本の著者の林えいだい氏が、理蕃政策のために現地で働いていた、日本人の方からもインタビューしているのも、やはりそれらの人が、個人として台湾原住民の人達を、憎んだり殺してしまえと考えていたのではないことを、明らかにするためだと思います。しかしその従事の過程で、原住民を酷使したり、尊厳を踏みにじるような理蕃政策に関与してしまった事実が浮き彫りになります。


長年の間、このような他国や周辺国民への加害の歴史が改ざんされたり隠蔽されてきました。公の権力によって、霧社事件の場合は、軍部によってです。しかし林えいだい氏を始め、映画「セデックバレ」の魏徳聖監督など日台双方のライターや芸術家たちが、埋もれた歴史に光を当てた作品を作ってくれたことで、現代にようやく伝わっていますが。わずか92年前の出来事が無かったことのようになっています。

軍事攻撃というのは民間人の殺傷を、起こさないようにしたとしても、避けられないものです。敵の軍部隊が展開している場所や基地と周りの民間人の居住地域は隣接している場合が多いからです。
それは基地が攻撃されてしまえば、周辺住民も巻き添えになることを意味するのです。

現在の日本国内の米軍基地を想像してください。自衛隊基地はどうですか?
かつての戦争中の福岡の大刀洗基地の爆撃の際に起きた、頓田の森事件や三軒屋の事件もそうでした。巻き添えになって小さな子供たちが犠牲になりました。


そういう負の歴史をきちんと
軍事組織(現在の日本ならば、防衛省と自衛隊)自らが反省し、率先して
情報公開していくことがないならば、
彼らが言うように「平和を創る仕事」とか「国を守る、国民のいのちを守る」というような言い分も信用できなくなります。

作戦の遂行の為には、民間人も子供も殺してしまう、毒ガス兵器さえ使う、基地に隣接する地域の人のいのちを守るより基地や軍事組織を守ることを優先する、そんな建前ではない部分の軍隊の本質を、僕たちは忘れてはいけないということが言いたいのです。

軍隊は機密の名の下に、情報を隠そうとします。それを許さないようにするには、有権者による監視が必要です。

「台湾有事」に加えて
「ウクライナ情勢など新たな安全保障上の危機」だから軍備を増強する必要がある、という彼等と国防族議員たちの主張には、現実的な根拠と論理的な説明が欠けていると思います。

それは「なぜ軍備を増強すれば、新たな安全保障上の危機を回避することができるか」という説明もないし、「軍備を増強しなければ、危機になる」ことの具体的な論拠が提示されていません。
軍備を増強すれば、中国との関係は悪化してより戦争の危機は近くなりますし、
中国に対して軍備の縮小を求める外交的な交渉も極めて難しくなります。

国際紛争の平和的解決が難しくなる、
軍備増強論の行き着く先は、「もし戦争になっても負けないようにする」というような戦争を前提とした絶望的な将来の見通しなのではないのでしょうか。

つまりそういう理由で全体的な軍事費を増大すれば、それが核ミサイルや生物化学兵器の開発研究に使われることもあり得ます。そんなことが許されるはずはないです。そういう目で政府の動き、国会での首相や与党の発言を厳しくチェックしなきゃならないと思うんです。

戦前の日本の有権者は限られていた上に、きちんとした情報を共有できる社会では全くありませんでした。
現代は違います。「政府の行為による戦争を二度と起こさない」ための憲法があり、国民が主権者であり、政府を選ぶことができ、国民の利益にならない政府を変えることができます。

僕たちがやれることは実はたくさんあります。
平和を創るのは自衛隊ではなくて
国民一人一人の平和を願う気持ちと行動力だと思います。


同じような危機感を持って
戦時中の国家の犯罪的行為を
一貫して書き続けたノンフィクションライターの林えいだい氏ですが、
この人の本から教わることはたくさんあると感じています。

これは2002年の作品ですが、当時の林氏は
眼底出血により、ほとんど失明に近い状態だったそうですが、この本を書き上げたそうで、霧社事件の当事者たちが世を去る前になんとか話を聞いて本にしなければと、将来の世代のために渾身の力をこめて書かれた作品です。


12/2^11:00
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