diary2

2022年8月26日(金)
【8/3(その5)】
こちらが今年の4月にオープンしたばかりの「北九州平和のまちミュージアム」の公式サイトです。
https://www.kitakyushu-peacemuseum.jp/past.php

実際に足を運んでみてほしいところですが、こちらをご覧くだされば、僕が訪問記で書いた若松区の北九州平和資料館の様子とは全く違うことは、何となくわかっていただけると思います。

このホームページに書かれている創設の目的や職員の方のミュージアムにかける思いは、 決して北九州平和資料館の方々と掛け離れてはいません。しかし実際に展示を観た感想としては、「北九州平和のまちミュージアム」と「北九州平和資料館」とでは、何を伝えていくためにこの施設を運営するのかという根本において決定的に別のものであると思いました。特に新しいミュージアムからは、先行して準備を進めてきた北九州平和資料館の最も重きを置いている理念が排除されているように感じました。

しかし前もってお断りしておきますが、ここに記しているのは僕の主観に基づく個人の意見に過ぎないということです。皆さん自身が訪問して感じる事が皆さんにとっての正解になるんだと思います。



「北九州平和のまちミュージアム」の開設準備段階から「北九州平和資料館」の皆さんは内容への要望を申し入れたり、市の担当者と話し合って助言を行ってきたそうです。

ちょっと話が逸れますが、現在「北九州平和のまちミュージアム」を運営する職員さんや開設にあたった担当者の人たちと、30年間運動を続ける「北九州平和資料館」の人たちの年代を比較すると、前者が後者より若い世代になるようです。現代に生きる北九州市民へ展示を考えるには確かにより若い世代の感性が必要かもしれません。しかし戦争の歴史の博物館のテーマとなるのは、過去の本当にあった出来事です。
ということはこのテーマに関しては、若い世代は、当時を知る世代、当時を知る人から実際に詳しく話を聞いている年長の世代の意見を、謙虚に受け止めなければならないし、自分たちの解釈よりも重きを置かなければならないと思います。

よく昔の人の気持ちを、今の人の物差しで測るべからず、ということが言われますが、戦争の全体像を現在の世代の解釈で変更してはいけないと僕は思います。アレンジを加えてもいいのはその継承の手法、方法論の部分だけです。

若松区の北九州平和資料館の展示には、戦争を主導し、国民を否応無しに強制的に戦争に協力させた政府や軍部の在り方を厳しく問う姿勢があります。

台湾出兵から日清戦争、日露戦争、武力による朝鮮の併合、満州事変から日中戦争、そして太平洋戦争という明治から昭和前期の歴史は、日本が欧米の強国をモデルに自らアジアにおける帝国主義国家として、植民地を拡げる為の戦争の時代であったということ、その過程でアジアの各国の主権を侵害し戦闘を行い、その国民の生活を破壊し、命も奪ったこと、被占領地域の民族の尊厳を踏みにじる同化政策や差別的対応を行ったことを決して曖昧にしない、という明らかなメッセージがあり、戦争の悲惨さを次の世代の子供たちに受け継いでいく時に、その加害者としての側面も決して疎かにしない、という理念があります。

若松区の北九州平和資料館を出る前に、資料館の小野さんが言われていたこと、それはせっかく新しく北九州市が設立した「平和のまちミュージアム」だけど、展示内容に不足している点がありすぎて、このままでは大事な歴史が伝わっていかない、戦争の悲惨さ、がもっときちんと伝えていかなければならない、ということ。
今年はウクライナ戦争という新たな世界的な危機が起こっている最中でもあり、戦争への不安が高まっているのだから、特に戦争の負の側面を省略してはいけない、という思いでした。

以上のようなメッセージを受け取った後に、僕は若松区から小倉北区城内にある「北九州平和のまちミュージアム」へ向かいました。

僕は福岡大空襲の日にライブをやること、それと現在の朝倉市で起きた頓田の森児童集団爆死事件についてもライブで取り上げてきたので、その学びの為に現地近くの「大刀洗平和祈念館」にもよく訪れました。

こちらも比較的近年に設立した新しい戦争をテーマにした博物館ですが、ここと「北九州平和のまちミュージアム」の展示と全体の雰囲気が似ていると感じました。

大刀洗平和祈念館は旧陸軍大刀洗飛行場の教育隊(パイロット養成施設)の敷地に建っています。
北九州平和のまちミュージアムは
旧陸軍の歩兵連隊本部跡に建てられています。
これは決してたまたまそうなのではありません。

大刀洗平和祈念館が、戦争の悲惨さと共に過去の大刀洗飛行場周辺の繁栄を振り返って未来に残そうというメッセージがあるように、北九州平和のまちミュージアムも戦争の悲惨さと同時に、この地にあった陸軍の施設、小倉造兵廠の壮大さをふるさとの歴史の一部として未来に残そうというメッセージを感じます。

中に入ってみるととても新しいですし、エントランスは明るくて、いわゆる戦争の歴史を観るときに感じる重苦しさが無いように、設計面からも工夫されているなと感じました。

タッチパネルの操作で資料が観覧できる内部の様子も、戦争資料の実物が並ぶさまに圧倒されるような破壊の跡やや欠落感や古びてしまった薄汚い感じもなく、なんとなくバーチャル空間のようなレトロな昭和20年の小倉へのタイムトリップ的な仕掛けを感じるのでした。

そして中ほどに一番目玉の施設である
「360°ムービーシアター」があります。ここでは1945年8月8日に起きた八幡大空襲の様子を基にしたアニメーションが上映されます。
特殊な音響効果や視覚的な効果、シネコンである衝撃が座席に伝わる効果など臨場感があります、しかしアニメーションの人物はとてもかわいらしくデフォルメされて、描写もリアルさを感じさせません。この表現の方法論は何なんでしょうか、どうやら小さな子供さんにパニックを起こさせない為の配慮なのだそうですが、僕には釈然としないものが残りました。

大刀洗平和祈念館のムービーシアターでもそうでしたが、こちらのミュージアムのムービーも締めくくりのセリフが「命を犠牲にして平和を遺してくれた人たちのことを忘れてはいけません」というものであることにも
疑問を感じずにはいられませんでした。その解釈は各自に委ねるべきことでしょう。これでは観せる側の主観の押し付けになってしまうよう思いました。
(続きます)


8/26^16:53
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