diary2

2022年8月5日(金)
【8/3(その3)】
3階が平和資料館のスペースになっていて、入り口に入ろうとすると、話し声が聞こえます。
時々勉強会が開かれている、と書かれていたのを思い出し、まさにその最中に来てしまったかな、としばらく入るのを躊躇していました。

そうして何とは無しに聞こえてくる話し声に耳を傾けていると、それは来館者に何かを説明していることがわかって、なるほどこれくらい小さな資料館で、来館者も少ない時は、管理されてる方が展示について説明をしてもらえたりするのだと思いました。

展示スペースは少し広めのギャラリーくらいで、おそらく当時のものであるだろう軍服や出征旗(徴兵命令を受け従軍する人を送り出す際に贈られた寄せ書き入りの国旗)などの遺品など、福岡で何度も「戦争展」や「空襲展」に行った際にも目にしたものでした。しかしかなりの密度でそれらの遺品が、詳しい説明書きと共に展示されているのは、やはり強烈な印象があります。

館内には一人の若い男性の来館者の方と話しているかなり高齢の男性がいらして、おそらくこの方が資料館を管理している館長さんだろうと思いました。

実は現在この北九州平和資料館は午後12時から夕方16時までの開館です。
きっと管理されてる方もご高齢なのだろうと思いましたが、予想通りでした。若い来館者は戦争展示に関心を持っている方みたいで、九州のいろいろな資料館を訪ねているというような話をなさっていました。

一通り展示品を観て回るのは15分もあればできます。しかしこの種の展示は、興味があるか無いかで、全く違ってきます。一つ一つに77年以上の昔の戦場やその兵士や送り出した人々の膨大な人生の物語が付随するのです。
それらにじっくり思いを馳せるならば、何時間もかかるかもしれません。

しかし感情移入すればするほど、逆に感情移入を拒否して、さらっと観るにしても同じように、目の前に並べられた戦争の歴史の遺品たちは、この空間に特異な雰囲気を醸し出していて、中に居るだけでも、重苦しい気持ちになるのは間違いありません。

僕はかれこれ15年以上の長い期間にわたって、このような展示や戦争体験の継承をしている催しに自主的に参加してきましたし、自分の主催するライブの中で、このような展示を試したこともあり、必要性を感じるのですが、

正直言って、毎回必ず重苦しい気持ちになります。だから観ている人がそうなるのもわかります。たくさんの人たちに関心を持ってもらうのは、一度ならまだしも、継続してもらうのは難しいことだと思います。


正直言って、このような活動を熱意を持って続けるのは、個人的な経験がある戦争体験者の世代か、戦後、平和運動や平和教育の必要性を感じて実現に尽力した世代ではないと難しいのではないかと思ってしまいます。

僕のような次世代が、さらに次の世代にこの生々しい形の展示をそのまま引き継いでいくのは、極めて難しい。なせならばそのくらい継承の担い手がいないからだと言わざるを得ないです。

ならばどうするか、その妥協点が現在広がっている新しい展示方法なのだと思います。継承はしなければならない、しかし中身や方法論は新しい世代のやり方、で変えていけばよいという考え方です。

でもここには根幹にかかわる
非常に重大な問題があります。

「果たして事実に基づく戦争体験の継承、戦争の歴史の継承が、重苦しいものでなくしてしまうことが可能なのか、いやそれが妥当なことか」
という問題です。

個人的な意見では、
それは不可能だし、なるべく慎むべき行為です。

戦争体験者がなぜ後世の人々に、体験談や遺品や教訓を残そうとしたのか、を考えてみるとわかると思うのですが、同じようなことをまた繰り返さないことを望んだからです。
自分たちが体験した恐ろしさ、家族を失う、友達を失う、悲しみ、戦場で見たこと、したこと、想像を絶する残酷さを、二度と自分たちの子孫に味わわせたくないからだと思います。

その願いの中から残酷なもの、辛いもの、悲しいものを抜き取り、薄めてしまうと、もはや本来の目的が変質するのではないでしょうか。

僕たちも、僕たちの次の世代も
残酷さや辛さ、悲しみも含めて、なんども追体験を試みながら、オリジナルに近い形で継承することにこそ、意味があるのではないかと思うのです。

そこからははたくさんの歴史的な失敗体験が学べます。

戦争を回避するためのヒントがあります。

また戦争を積極的にしようとした当時の政府や軍が、どうすれば一般の国民の戦争協力を得られるか、その心理的なトリックや世論誘導のたくらみを
知ることができます。

残酷さや、辛さ、悲しみが
薄められた平和教育からは、そこから学ぶべき教訓も同じく
薄められたものにしかなり得ません。
戦争が自然発生的に起きたかのように伝えるのは、それを推進した主体が政府や軍、その支配者である天皇制であることを忘れさせてしまいます。


そのようなことを思いながら観ていると、館長さんに「ようこそ来てくださいました。」と話しかけていただきました。
それから30分くらいゆっくり話をさせていただきました。
非常に大事なお話が聞けました。
(続きます)


8/5^13:00
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