diary2

2021年4月4日(日)
【4/3(新しい曲)】
新しい曲ができました。
歌詞を紹介させてください。
次のライブで歌えるよう
練習を重ねて行こうと思います。

昨日スタジオで通しで歌ってみたら10分32秒かかりました。2013年に海洋流出のことを歌にした「異常」という曲が13分かかったので、今までで二番目に長い曲かもしれません。

最初この歌詞は
ボブ・ディランの「血の轍」アルバム全曲和訳カバーの中の「リリー、ローズマリーとハートのジャック」に合わせて作りました。でも曲がカバーだと
ライブで歌えない場合があるので

今度は、歌詞に合わせてオリジナル曲を作りました。こういうプロセスのやり方は初めてです。だから1ヶ月半くらいかかりました。この歌詞の元になった事件を知ったのが昨年の春でしたから、丸一年かけてようやく出来上がった曲とも言えます。

正直言うと作るべきか否か、発表するべきか否か、かなり迷いもありました。このテーマは福岡の歴史の中だけでなく、日本人のかなり深い部分に根ざす、あるタブーに触れているかもしれません。不要なトラブルを避けるべく慎重に作ることを心がけました。虐げられた人達の尊厳を傷つけるような内容ではないと信じています。

いま欧米を中心に新型コロナウィルス感染症が発端になり、アジア系の住民へのヘイトクライムが激増しています。日系の方も被害に遭われています。でも一方日本の国内には、差別的な入管制度のもと人権を蹂躙された外国人がいらっしゃったり、朝鮮半島系の人々へのヘイトクライムもまだまだたくさんあります。

世界を語る以前に
まず自分の周りを、生まれ育った町の中で同じようなことがあったのかどうか知ることは大事だと考えます。

それでもやはりこのテーマは
慎重に慎重に扱わねばならない
未だに難しい問題です。


現実の「福博」の町で無く、僕の心の中に有る「ハカタ」という架空の町の話だと、読んでもらうこともできるように書いてみました。だからこの歌詞はノンフィクションではなく、ある史実からヒントを得たフィクションだとご理解いただけたら幸いです。







「僕とにいちゃんと川べりに在った村」

新しい風の匂いが吹いてきた
このゴミゴミした川べりの村にも
ハカタで一番じめじめした
誰もがウジムシやドブネズミあつかい
この村がとうとう生まれ変わるって
大人たちが言う

僕の家も、隣のにいちゃんの家も
ずっとケモノをつぶして皮をはぐのが仕事
それを太鼓や草履にする家もある
墓掘り人夫の家もある
そして誰もが鼻をつまんで
この村を通り過ぎて行く

川向こうの町の子供が石を投げてくる
臭くて不潔で呪われてると
隣のにいちゃんは
気にすんなと笑って
でっかい手で頭をわしゃわしゃ撫でてくれる
あいつらには言わせとけ
俺はこの村が好きだって

でも生まれ変わりは揉め事を呼び込んだ
酒屋に行った大人たちが半殺しにされた
風呂屋も床屋もお断り
この村の人間は来るなと言う
おまえらはおまえらの身分をわきまえろと



国中の村や町で不満が高まっていた
昔のしきたりを元に戻せという
僕たちの村にもやってきて
お前らあまり思い上がるなと
いい加減にしないと恐ろしいことになるぞと言う

そしてある日一揆が、暴動が始まった
たくさんの村や町がお城へ上って行った
金持ちの家や蔵を打ち壊せ
おまえらの村も手伝えという
でも村の大人たちはきっぱり
はねつけたんだ

人は誰でも生まれたときは同じ
区別を作るのは社会や制度だと
えらい学者が言っていたと
にいちゃんは僕に話してくれた
むずかしくってよくわからない
でもにいちゃんは嬉しそうだった

にいちゃんは僕たちに
ちゃんと勉強しろと言う
村の大人たちで学校を作ると言う
代々受け継いだ仕事も大事だが
世の中を変えるのはもっと大事だと
だからおまえらはしっかり勉強して
大人になれと

6月のある朝、ひでりは続いていた
暴れ者たちが村を襲ってきた
ノウミンやサムライも入り乱れ
火のついた松明をかかげていた
そして所構わずこの村に火を放った

粗末な造りのこの村はすぐに燃えた
あっという間に黒い煙に巻かれて行った。
大人も子供も男も女も
泣き叫んでぐちゃぐちゃになった
家財道具も叩き割られ
火に投げ込まれた

にいちゃんや若者たちが暴徒に刃向かった
ぼくたちの村を守ろうとしてくれた
でも殴られ突かれ蹴飛ばされ
最後は冷たく動かなくなった
大好きなにいちゃんをあいつらが殴り殺した

ほとんどすべて灰になってしまった
イシドウ橋のたもとのマツのお寺も
これがあいつらの世直しか?
弱いものを虐めただけだろう?
文明は開化した
人の心はもっと醜くなった

だけどぼくはこの村を立て直す
にいちゃんや仲間を忘れないように
村の大人たちはガレキを片付け
もう一度学校を開くという
決してあきらめない
決してつぶされやしないと

これは僕が年老いて死ぬ前の
100年も150年も昔に有ったこと
でも村があった場所には今もなお
あの頃と似た風が吹いている
川は流れていく
ハカタの港へと

孫やひ孫や玄孫の時代になって
差別はヘイトと名前を変えたけど
世の中からそれは無くならず
ぼくたちの村の歴史は忘れられてく
でも誰かがきっと
誰かがきっと
誰かがきっと
忘れないでほしい


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