diary2

2024年3月3日(日)
【トップページより(2024年2月)】


(最近読んだ本より)
「聞き書き 花岡事件」
(野添憲治 著/ 1990年 御茶ノ水書房)より。
「地獄絵図」66ページより。
「結局、花岡鉱業所で働いた捕虜や徴用工は、労働にしても食糧にしても、鹿島組に連行された中国人のように、虐待は受けなかったのである。そのため、死亡者も少ないし、体も中山寮の中国人のように「ひょろひょろ」にやせていなかったのだった。
その原因は簡単だった。補導員や鹿島組の人たちが、中国人の食糧を盗み取っていたからだった。
(67ページより)
中国人へ配給になった食糧は、個人的に盗み取るだけでなく、かなり計画的にもやられていた。たとえば
「河野(花岡鉱山鹿島組出張所長 当時)
は伊勢(同所長代理 当時)をつうじて、俘虜向けの配給米の一部分を、定期的に、じぶんと家族のはらにおさめていた。のこったぶんは、妻がこの出張先で、鉱山がわから給与されている社宅くらしのひまひまに、米にくるしむ奥さん連中へわけてやっていた。ある場合は適当に金をとり、ある場合はたとえば、相手が鉱山長や澄井とかの奥さまの場合は、金をとらないで。それは花岡警察署長のおくさんにも適用していた」(「地底の人々」)というように。
(64ページより)
いわゆる「花岡事件」といわれる蜂起が発生する昭和20年6月30日まで(同19年から約1年間)に、鹿島組に連行されてきた295人の中国人のうち113人も死亡しているのである。花岡事件を経ているので、さらに多く死亡しているが、同じ花岡鉱山で働き、同じ量の食糧の配給を受けながら、なぜ鹿島組だけが、ケタ外れに多い死亡者を出しているのだろうか。


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